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篠路 01_駅前の原風景

初回の記事なのですが、いきなり郊外地域に行ってきます。
篠路 です。
この地名、札幌市民以外の知名度はどれほどなのでしょうか。

JRの駅がある点では多少知られているかもしれませんが、
川の名前でもある豊平、スキー場で知られる手稲、イベント会場ともなる真駒内…
などと比べると知られていないのではないでしょうか。

それでも最初の行き先に選んだ理由は
札幌市内で最も早く開拓された土地
だからです。

時に幕末は安政6年。西暦にして1859年。
「本府」と呼ばれた今の札幌都心の開拓がはじまる13年前のこと。
わずか50人ほどが旧琴似川河畔に入植して以来の、札幌最古の地域。
それが篠路なのです。

それともう一つ、訪れた理由に「JR札沼線の高架化」があります。
札幌駅から新十津川へ続くJR札沼線は、札幌市内でみれば通勤路線。
都心部から郊外へと、段階的に複線化、高架化、電化…とグレードアップが図られてきました。
そして、篠路駅周辺もいよいよ高架化、同時に篠路駅周辺の土地区画整理を行う計画が2年前、2013年に持ち上がったのです(参考)。

事業が始まるのはまだ数年先のことですが、今の篠路駅前は今しか見られない街並みになりつつあるのでしょう。



【篠路駅】

札沼線の駅は都市的な駅前らしさに欠けるのですが、篠路駅もそのひとつ。
とは言え篠路駅の駅前は他のそれとは違います。
通りがなんとなく駅前で途切れて、広場とまでは言えないような駅前空間に、雑然とした自転車だまりと一本の松。
駅舎も含めて昭和の空気をまとったのが篠路です。
そして、再開発される地域一帯も、住宅街の中に残る「篠路村」だったころの雰囲気を感じます。


【篠路駅前から東を望む】

【駅前ビル】

【駅前通の建物群】

古いままの建物。
複雑で非効率な土地利用。
風化した縁石。
簡素な私道がほとんど更新されずに残っている独特な空気感。

再開発が予定されているこの地域は、先に書いた幕末に入植された頃からの、篠路地区でも最も古い地域にあります。

ちなみに篠路の指すエリアは広く、
①札沼線東側、道道273号花畔札幌線沿いの古い地域(古い地図などには「本村」と書かれる)
②札沼線西側、8丁目通(東8丁目篠路通。通称北光線)を中心とする、昭和50年ころから市街化が進んだ地域
③伏籠川左岸の平成10年ころに開発されたニュータウン地域
の3地域におおよそ分けられます。
今回は行かない②や③の地域については、また別の機会で。


ともかくも、都市として健全とは言えないけれど、周りと切り離されたこの一角を無下に取り除くのはちょっと勿体ないような気もするのです。


【レンガの倉庫群】

その理由のひとつがこの倉庫群。レンガ造りのもの、石造りのものなど10棟弱が駅前に建ち並びます。
以前は駅西側にもあったのですが、そちらは再開発で取り壊されてしまいました。

篠路には、かつて全国区の特産品がありました。
玉葱です。
日本で最初の玉葱生産は札幌市と言われ、丘珠・篠路はその中心地でした。
今では数も減りましたが、それでも玉葱畑はまだ残っています。
中でも札幌黄と呼ばれる特産の品種は「幻の玉ねぎ」とさえ言われます(参考)。

その積み出し基地が、この篠路駅だったのです。

付近には「北区歴史と文化の八十八選」というものの案内板もありました。
その内容を引用すると、
 昭和10年(1935年)、札沼線の開通により篠路駅は野菜出荷の基地となり、にぎわいを見せた。周辺には石造りの野菜倉庫が建ち並び、全国に向けて玉ねぎなどが送り出された。 現在も駅周辺に数棟の倉庫が一群をなしており、市内の他の地区には見られない独特の雰囲気をかもしだしている。
とあります。
この倉庫群が今後どうなるのか、気になるところです。
すでに高架化されている、篠路から3駅都心へ進んだ新琴似駅の前にもかつて倉庫があったのですが、残念ながらこれは取り壊されてしまいました。今ではレンガのモニュメントが残る限りです。
札幌には古い建築が、エリアとして残っている地域はほぼありません。
ですが、一棟だけぽつんと古い建物が残っているパターンを時折見かけます。
それはバルーンフレームの住宅だったり、レンガのサイロだったり、札幌軟石を使った石造りの倉庫だったり。
そしてそれらはリノベーションされてカフェやレストランと言った利用がなされてることも多く、しばしば人気のお店として紹介されもします。

さて、篠路の倉庫群は今後どうなるのか。数えられる程度とはいえ、まとまりで往時の姿を留めるなかなか見られない場所であり、中には現役で倉庫として使われているものさえあります。



すっかり住宅街で取り囲まれた地域の中で、ここだけは雑草も伸び放題で、ひと気もなく。
十数分ごとにやってくる電車から降りてきた、一握りの人並みが見える瞬間だけ駅前に戻るようです。



 
【駅前地域を東から望む】

さて、まずは篠路の駅前だけを見てきましたが、次回は再開発予定エリア全体と、その周辺も少し歩きまわろうとおもいます。

【参考文献】
「エピソード・北区」(H19.3、札幌市北区役所)
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